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2016年6月アーカイブ

                    設計 (株)住まいの松木一級建築士設計事務所

                    施工 株式会社住まいの松木

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この建物は、韮崎市にある武田八幡宮の総門です。この度ありがたいご縁をいただき、屋根瓦の葺き替えに伴い、屋根の改修をさせていただくこととなりました。

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にわか知識ですが、武田八幡宮は弘仁13年(822年)の創立と伝わり、古くから甲斐源氏により崇敬されてきている神社だそうです。それから長い月日を経て武田信玄、勝頼親子により再建されたのが、現存する武田八幡宮です。本殿は三間社流造桧皮葺の造りで、装飾的にも優れ、昭和4年に国の重要文化財に指定されました。総門に関しましては、文献が無く、いつ建てられたかは分かりませんが、瓦を剥いだところあまりにも傷みがひどく屋根総改修ということになりました。

 

解体前

出組になっているのですが芯桁が無く、枠肘木の上でてんびんになる束が、入れてあるのですが、梁が直接出桁にかかっていて、組み物がすべて前のめりになっています。

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解体中

解体工事が始まりました。

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かなり痛みもひどく、軒に登っていつのも危険なじょうたいです。

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解体してみて驚いたのですが、施工はあまりにも粗雑なものだと思います。

野隅木と言えるものは無く,45角の棒きれが入っていました。

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 軒を支える力木(桔木)はあまりにも少なく,細く桔木の元も止まっていません、当然隅桔木もありません。 

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桁芯化粧垂木も高さが合っていません、4隅8か所すべて化粧杉板がまがっています。

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隅木の仕込みも最低だと思います、隅木の力を最大げんいかすのは、隅流れでしこむのは、当然のことだと思います。 かなり垂れてはいますが、よく軒が折れずもっていたものだと思います。 

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桁上バ陸欠きで隅木の一番力のかかる部分を痛めすぎています。 

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屋根改修 小屋伏図です。

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小屋断面図です。 破風納まりをチェクしています、軒の直線部がむくって見えないよう出桁芯より垂木4本手前から反りを取ってみました。

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隅木正面より見た図面です。 規矩術(大工さしがね術)を使い書きます。 私の場合大きな原寸図は、まったく書かずこのような図面ですべて墨付けをしています。

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 隅部展開図です。

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 改修工事中

 工場で加工工事をしています。

予算が掛らぬようなるべく既存の木を使うよう考えたのですが、化粧隅木は再生不可能ですべて新設になりました。 元あった化粧隅木は野隅木に再生利用する事にしました。

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桔木も既存の物はすべて使い物にならず、すべて新しいものにしました。

隅桔木も入れ14本いれます。

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出組の組物の転びを直し、現場工事が始まりました。 

新設した化粧隅木の上に傷めすぎた既存の隅木を野隅木に使用しています。

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 野隅木と化粧隅木はサクラボルトで固定しトラス状態を造っています。

野隅木の鼻には桔木鼻材をとりつけます。

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化粧垂木茅負を取り付けています。 

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 面戸板も入り化粧杉板を張り出しました。 

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桔木が入りました。 今回は組み物が転ばぬよう柱芯桁を入れ、桔木の支点にしました。 

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 桁芯より4本手前野垂木から反り出しているので母屋にも増しをつけます。 

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野垂木を入れ野地板を張り出しました。

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既存の破風も取り付け大工工事が完成しました。 

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瓦工事も終わり完成です。

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後記

武田八幡宮には武田勝頼滅亡の直前に夫人が戦勝祈念を訴えた祈願文が今も掛軸として残っているそうです。大きな木立の中にある趣のある建物、そこにたたずみ、そのことを思うと、 何となくはかなげな静寂に包まれます。訪れる参拝客も思いの他多く、戦国時代を駆け抜けた人々の余韻がいつまでも残る神社です。

                    設計 (株)住まいの松木一級建築士設計事務所

                    施工 株式会社住まいの松木 

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塀工事

土台に枠を組み板をはめていく工法です。

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 裏の控えの様子です。

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 上に瓦が乗ります。門に向って右側の木工事が終わりました。

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門の左側はブロックの塀とブロック積みの蔵、平屋の建物があります。ここを門に合わせて変えていきます。 

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平屋の建物に小屋裏を造り、蔵と一体感のある瓦葺きの建物にしました。

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蔵を南から見たところです。

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塀に瓦が乗り、壁を漆喰で仕上げて完成です。

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